君の名は
6月初めに出会ったとき。
この頃はまだ左目に瞬膜はかかっていなかった。
おだやかな性格らしく、ほかの猫たちと仲良さそうだった。
子猫を優しい目で見守ったりみんなの毛づくろいをしてあげたり、慕われているようだった。
4ケ月ぶりに訪れたのはちょうど夕飯時。
玄関前に座ってじっと中を見る。
おばあさんがご飯を持って出てくるのを待っている。
私がしゃがむとそばに寄ってきてスリスリスリスリスリ、熱烈歓迎。
なでてあげるとその手に頭をゴンゴン押しつけて指を甘噛み、
というよりは指にチュパチュパ吸いつく。
知らない人間にそこまで、いいのか?と心配になるほど人懐っこく甘えてくる。
「あの三毛は『うちの猫』じゃないから。」
猫歴は長いのよ、昔から猫は好きなのよ、とは言うけど。
「アパートの住人が勝手においていった。」
「汚い、うちの猫に病気がうつる。」
元の飼い主(?)への怒りがないまぜになった複雑な感情が猫に向けられる。
いつだってそう。猫はなんにも悪くない。
「ねね子おいで~、チビチビそっち危ないよ~。」
ほかの猫には優しい声で話しかけるのに、この三毛には名前すらない。
「どっかよそに捨ててきたいけど今それしちゃいけないんだってね。」
温和な顔で、さりげない口調で。
冷たい、冷たい、心が寒くなる言葉。
ここには、この子の居場所がない。
遅くなって、ごめんね。お迎えにきたよ。
今日からふかふかのお布団でおねんねしましょうね。
あなたのお名前は、今日から真知子ちゃんよ。
翌日おばあさんに内緒で人目を避けて真知子ちゃんを保護した。
わずかな焼きカツオをしのばせたキャリーに、真知子ちゃんはトコトコ入ってきた。
瞳孔が小さくなったままの左目はもう手遅れかもしれない。
by rusuneko
| 2011-09-24 18:52
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