助けを求める猫





冬枯れの凍える日、駅前の道端に猫がうずくまっていました。
a0206019_00381929.jpg

すぐ横をひっきりなしに通行人が通るのにその場を動きません。
大概の人はちらりと猫を一瞥して足を止めず先を急ぎます。

びっしり厚い目ヤニで塞がったままの目。
つららのように地面にまで垂れ下がる鼻汁。
背骨がごつごつと浮き出るほど極限まで痩せこけた体。


a0206019_00383007.jpg

キャリーに入れた直後から、猫はもう起き上がれませんでした。

病院では重い貧血と低体温と黄疸と低血糖で即入院。
供血をするにしても、もう手遅れかもしれない。

かなり危ない、今晩が山だろう、
獣医師の冷厳な診断を認めざるを得ない容体。
断続的にけいれんを起こす姿に『看取り』を覚悟しました。

猫に『源吉』という名前をつけました。
時代劇映画に出てくる百姓の倅です。

源吉ちゃん、どうか、苦しまずに行けるように。

a0206019_00390879.jpg



翌朝。

源吉は驚いたことに上体を起こして落ち着いていました。
話しかけるとお返事もします。

これは、希望があるかも。


うちの卯野ちゃんに出動願って供血しました。

a0206019_00412502.jpg




輸血で気分が良くなったのか、夜になると自力で食べ始めました。
a0206019_17171452.jpg

がんばれ! がんばれ!


いい子いい子~とほめるとうれしそうに一生懸命食べます。

まるで「ほら見て!自分で食べれるようになったよ!」と
私たちに見せているようでした。
a0206019_17173786.jpg



なでると喜んでずっとゴロゴロいいます。
a0206019_00440455.jpg




お尻を持ち上げてうれしいを表現してくれます。
a0206019_00423872.jpg


かなり大柄な体格の男の子なのに体重はわずか2.9kg。
長い間食べていなかったのでしょう。
a0206019_00430814.jpg



あんな人通りの多いところにいたのは、
誰かに助けてもらいたかったからじゃないかな。
もう一度、家の中に連れてってほしかったんじゃないかな。


a0206019_00443779.jpg



助けてもらったのがよほどうれしいのか、たくさんお話しします。
話しかけると必ずお返事するのがいじらしい。

a0206019_00450160.jpg



けれど








a0206019_15111143.jpg

入院4日目の夜から再び元気がなくなり起き上がれなくなりました。
食べ物にも口をつけず、強制給餌も受けつけず。




保護から一週間、源吉ちゃんは息を引き取りました。


a0206019_15114928.jpg

点滴は最後まで続けました。
そのために家でなく病院で最期を迎えました。

飼い猫だった源吉ちゃんを家で看取りたい、
そう思ったけど、酸素室の準備もできなかったし、
「点滴を続けると最期の苦しみが少ない」
この言葉で断念しました。

どっちがよかったのか、今でもわかりません。



ずっと食べていなかったろうから、最後に「おいしい!」と
思いながら食べ物を口にできてよかった。
それとも助けた私たちに元気なところを見せようとして無理したのかな。





黄疸が出ていてわかりにくいけど、源吉ちゃんの目は緑色でした。
a0206019_01051716.jpg


源吉の肉球はふっくらぷにぷに、柔らかくてスベスベでした。
足や被毛の汚れもさほど年期の入ったものではありません。
家の中で飼われていたのだと思います。
捨てられたのか、おいていかれたのか。


源吉のように消えていく命はたくさんあります。
たった一匹の猫の死をことさらにとり上げることは無意味かもしれません。

でも、源吉の飼い主に、源吉の最期の様子を知らせたいと思いました。
源吉の飼い主がこのブログを見ているとは思えないけど。
捨てられた源吉がその後どうなったかなんて深く考えていないでしょう。
野良になってどっかでエサでももらってなんとか生きていくだろうと、
自分に都合のいいように楽観しているかもしれないし、
飢えて寒さに震えてボロボロになって野たれ死ぬだろうなんて
罪悪感に苦しむような想像は封印しているかもしれない。


でも多くの捨て猫の、これが現実です。




たった一匹の猫が、飼えませんでしたか。

高額な医療は受けさせてやれなくても、
高価なオモチャやぜいたくなフードは買えなくても、
そこそこのフードとトイレ砂と暖かい寝床、
そしてずっとそばにいてくれる優しい家族の笑顔があれば、
それだけで猫は十分幸せです。

源吉を、最後までそばにおいてやることは、できませんでしたか。


a0206019_01053589.jpg
人間に裏切られて、なお人間を信じ続けた源吉。
口惜しいけど、助けてやれなかった。

ごめんね、源吉ちゃん。


今度生まれるときは、ずっと一緒にいてくれるお家の子になろうね。






[PR]
by rusuneko | 2014-12-28 15:55 | 猫つれづれ


身よりのない猫の里親探しをしています


by rusuneko

プロフィールを見る
画像一覧

S M T W T F S
1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30 31

里親希望の方はご覧下さい
里親希望さん必読



いのちつないだワンニャン写真コンテスト

以前の記事

2016年 01月
2015年 12月
2015年 11月
2015年 10月
2015年 09月
2015年 08月
2015年 07月
2015年 06月
2015年 05月
2015年 04月
more...

タグ

(102)
(93)
(78)
(71)
(64)
(63)
(63)
(55)
(46)
(45)
(44)
(42)
(34)
(32)
(30)
(30)
(29)
(27)
(25)
(25)

その他のジャンル

記事ランキング

画像一覧